11月は厄月　マシラ

　この山歩きの次の夜に兄から母の調子が少し悪そうだからとの連絡があり、では翌日一番で会いに行くとバスを予約をした。
　
　が、その日の深夜に『もう、遅い』と通知があった。
　日頃の悪行がたたってか、親の死に目にも会えない親不孝もの
　マシラ

　今冬初雪を抱いた山が間近正面に見える葬祭場、付近では紅葉に色づき、道ばたに止めた車の持ち主はキノコ狩りを行っていると人が言う。
　父に連れられてキノコ取りに行っていたのはこのあたりであった。

　長年不義理をしていた故郷の荼毘＆葬儀の作法変化に俺にはとまどうことばかりだった。
　でも多くの好意があって、つつがなく母を送ることができた。
　風など吹き込むことはなかったが、葬儀後に風邪を引いて寝込んだ。
　動けないのでじっと寝ていたら、横になって寝過ぎたのが腰に悪かったらしく、発熱が腰痛に続いて今度はエビ姿勢での寝込みを更に三日。
　ようやく良い方向にむいてきたような気がしているが、でもよたよたしてる。
　医者からは現状維持が絶対条件、そのために風邪にはよくよく注意するようにと言われているが、葬式の時に寒いとか泣き言は吐けないしなあ。
　ああ　そうだ

　１１月は我故郷の実家では厄月なのだ。
　父が亡くなったのも、弟が亡くなったのも、俺が熊に襲われたのも１１月だ。
　だから今秋は母の事と重ねて自重して行くことにした。
　月末で契約期間満了、そこまで有給余り状態で自由時間たっぷりでも、熊が怖い時期でもあることだし、よってしばらく山はお休みだ。
　そう決めると、
　なんか、パソコンに向かう気力もなくて、天気がいいのに、だらだらと寝たふりして　考えるまもなく一日が過ぎていく。
　まあ、そのうちに　ぼちぼちと行きますわ。（それ　ほんとかと言われた場合に自信ある返答できないが）